2020.08.18
暗号資産向け指紋認証カード「MoriX Wallet Card」をアマゾンで販売開始、今秋には次世代クレジットカードも
Q:「MoriX Wallet Card」の特長を教えてください
A: 最大の特長はICカード型のウオレットに指紋認証センサーを搭載したことで、第三者による不正利用のリスクを大きく軽減したことです。暗号資産を保管する ウオレットにはネットワークに接続されているタイプとそうではないタイプがあり、当社の製品は後者となります。暗号資産はビットコインの登場以来、大きな 注目を集めており市場は成長を続けています。国内にも数多くの交換業者が生まれ、ビットコインだけでなく多種多様な暗号資産が活発に売買されています。
ただ急成長する市場だからこその不安も顕在化しています。その1つが暗号資産の安全面です。ネットワーク上で多様な暗号資産を売買できる利便性がある一方 で、ネットワークの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が相次いでいます。国内では数十億円規模で暗号資産が盗まれる事件も起きており、交換業者はセキュリティー 対策の強化などを進めています。暗号資産を保有する個人も自ら資産を守るための対策が必要になっています。
当社が販売するMoriX Wallet Cardは、ネットワークから遮断されたハードウエアウオレットと指紋認証システムを組み合わせることで堅牢さを高めています。あらかじめ 登録した指紋をICカード型のウオレットで照合することで各種機能を使うことができるようになります。当社ではクレジットカードなど金融系のICカードで 利用できる認証精度を有しており、他人の指を誤認する確率は8万人に1人程度となっています。指紋情報そのものも暗号化されカードのなかに格納しており、 オンライン上に情報が流出することはありません。
●スマホとPCとウオレットを接続し様々な機能を提供
●暗号資産の送金と受け取り方法は
Q:具体的な利用方法は
A: ウオレットは、お手持ちのスマートフォン(スマホ)やパソコンに専用アプリを入れて簡単に利用することができます。スマホの場合はBluetooth(ブ ルートゥース)でウォレットと接続し、パソコンの場合はUSBで接続します。指紋登録も簡単で、アプリの指示にしたがいICカードに指を十数回置くことで 登録できます。正しく登録できたかはアプリ上で簡単に確認できます。
暗号資産を送ったり、受け取ったりする機能も簡単にできる工夫をしています。暗号資産を受け取る際にはウオレットが生成したQRコードを相手に送ることで 受け取りが可能になります。一方、暗号資産を送金する際には、アプリ上で送り先のアドレスと金額を入力し、ウオレット側で指紋認証をすることで送金処理が 実行されます。指紋認証がなければ送金が実行されないため、仮にウオレットを他人に盗まれても不正に送金される心配はありません。ウオレット単体で利用す ることも可能で、保有する暗号資産の残高確認などの機能を備えています。
Q:対応する暗号資産の種類は
A:現在はビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、イーサリアムクラシック、ライトコイン、ドージコイン、ダッシュの7種類の暗号資産に対応しております。今後、他の暗号資産にも対応の幅を広げていく考えです。
Q:指紋認証システムの開発はいつから始めた?
A:当社は2005年設立です。実は前身の会社から十数年間、指紋センサーと認証アルゴリズムを研究開発してきました。現在のように指紋センサーをICカードに 実装する形は10年以上前から開発を始め、数年前に製品開発に成功しました。最新の製品ではICカードを認証するための接触・非接触の両方式に対応してい ます。指紋認証技術を活用し、個人情報を守りながら安全で安心な社会の実現を後押ししたいと考えております。
Q:生体認証技術は社会に広がりつつある。指紋が他の方式と比べて優れている点は?
A: すでにオフィスビルなどには指紋認証の設備を導入している場所も多くなってきています。また米アップルのiPhoneなどスマートフォンに指紋認証を採用 する製品も社会に多くあり、指紋を使うことへのユーザーの抵抗感は小さくなっています。生体認証にはこのほかにも顔や声、手のひら(掌紋)、目(虹彩)を 使う技術もあり、それぞれが優位性を発揮できる分野で普及していくと考えています。
Q:モリックスの今後の製品展開は
A: 主力となるのがICカード型の製品です。例えば、生活に欠かせないクレジットカードは世界で100億枚以上が発行されており、中国の銀聯カードだけでも7 0億枚以上と言われています。日本国内でも3億枚近くが発行されており、1人当たりが2~3枚を所有している計算になります。決済金額も70兆円を超えて おり、キャッシュレス化の波に乗り数年後には100兆円を超えるとの予測もあります。このほかにも、銀行のキャッシュカード、社員証や会員証、保険証やマ イナンバーカードなどの公的機関カードなど、生活のあらゆる場面にカードが「浸透」しています。
Q:ICカードに「指紋認証」を導入することで何が変わりますか?
A: カードを利用する際の安全性を飛躍的に高めることができます。クレジットカードでいえば、4桁の暗証番号を入力する手間がなくなり、サインもいらなくなり ます。何よりカードを落としたり、失くしたりした際にカード会社に電話で利用を止める手続きが不要になります。当社の指紋認証カードを使えば、カードに指 紋を置いたときにだけカードが決済可能な「オン」の状態になります。指を外せば「オフ」となり、他人が成りすまして使うことは不可能です。また指紋情報は カードのなかに暗号化されて格納されており、クラウド上に情報があがることはありません。
このほかにも社員証として利用すれば、入退室やPCへのログインなど認証が必要な場面で確実に本人確認ができる環境を整備できます。企業や国、官公庁、自 治体などは既存のICカードをモリックスカードに替えるだけで安全性を高めることができます。クレジットカードと同様に、本人が指を置いたときにだけカー ドがオンになり認証が可能になります。この時、お客様がお持ちの認証システムを大きく変更する必要がないため、カードを交換するだけで指紋を使った安全性 の高い認証システムを導入できます。
お客様の 既存システムを大きく変更することなく指紋認証システムを導入できることがモリックスカードの強みです。すでに入退室管理のICカードとしては大手航空会 社様で実証実験を進める予定になっています。また総合芸能事務所のサンミュージックプロダクション様では、各種イベントなどで実証実験を進めて頂く予定で す。エンターテインメント分野においては、会員証としてモリックスカードを利用すれば、指紋情報を会員カードに入れておくことで、イベント時における本人 確認の手間を大幅に減らすことができるほか、社会問題となっているチケットの転売防止などにも役立てられます。
このほかにも自動車の「鍵」に利用すれば、リレーアタックなどによる車の盗難を防ぎやすくなるほか、IR(統合型リゾート)では入退場や決済の厳格管理にもつなげられます。
Q:スマホの普及でカードの存在感はなくならないか。
A: スマホは非常に便利です。決済も含めた様々なアプリケーション(機能)を1つの端末でできることはユーザーの大きな魅力になっています。これまでカードが 担ってきた機能の一部は確実にスマホが代替することになると思います。ただ多機能であることはサービス提供者側にとっては差別化が難しくなる一面もありま す。さらにスマホそのものが抱える根本的な安全性の問題があります。例えば、スマホがログインされた状態で盗まれれば、中に入っている決済系のアプリケー ションの多くは自由に使えてしまいます。さらに世界のなかには電力インフラが不十分な地域もあるほか、大規模災害で停電が起きた際にスマホが電池切れにな る危険性もはらんでいます。一方で、カードはすでに世界中で決済端末が導入されており、既存インフラを生かしていくことは合理性の観点からも重要です。
今年の秋ごろには海外のクレジット大手から新型クレジットカードとしての認定を受ける準備を進めています。認定が取れれば指紋認証ができるカードとして日 本だけでなく世界で利用することが可能になります。このほか指紋認証の利点を生かし、仮想通貨のウオレットとして活用できる多機能カードや、企業や官公庁 向、自治体向けに社員証や公的機関カードなどとして販売していきます。さらに外国人登録証やIR(統合型リゾート)向けの認証カードや、エンターテインメ ント分野の会員証、自動車向けなど多くの製品分野を開拓していきます。
こうした大多数の人に向けた指紋認証システムを構築する際に鍵になるのが、他人を誤認しないなどの認証精度です。すでに他人誤認率は8万人に1人程度まで 高めていますが、今後も精度をさらに引き上げていきます。2020年10月期には売上高で60億円程度を見込んでおり、次期以降も年率100%を超える持 続的な収益増を目指していきます。
■会社概要
社名:株式会社MoriX
所在地:東京都千代田区有楽町2丁目2番1号 X-PRESS有楽町9階
設立:2005年8月
代表者:代表取締役 久保田 守彦
事業内容:生体認証システムの開発・製造・販売、ICカード関連機器の開発・製造・販売、半導体製品の開発・製造・販売、上記に付随する諸般業務